2008年5月13日火曜日

嗤う遺伝子

 優れた遺伝子が発見された。 それは銀河系の辺境の惑星でのことだ。
 住人は、かつて地球から移民した人々の子孫。
 この星は公転周期が長くて、夏が20地球年、冬が40地球年。 余りに厳しい冬の為に植民政策が断念され、取り残された移民たちが、生き延びる為に自分たちの遺伝子を改造したのだ。
 紙やメモリー装置が限られていたために、彼等は自分たちの研究、発見、発明、歴史の全ての記録を遺伝子に刻んだ。
 即ち、この星の住人は全て生まれながらにして親の記憶を持っているのだ。
 彼等を再発見した人々は考えた。
「個人的な記憶は必要ない。しかし科学技術の記憶を生まれながらに持つことは、学習時間の節約になるではないか!」と。
 遺伝子を改造した記憶を参考にして、共同で研究が進められ、全人類の遺伝子に「学習節約遺伝情報」が組み込まれることになった。
 きっと、時間が有効に余ったら、人類は更に発展するだろう。
 誰もが期待した。

 しかし、一つだけ、忘れられていた遺伝情報があった。忘れられていたので、誰も思い出さなかった。
 それは・・・

「再び同胞と再会し、人類のオリジナルの遺伝子と接触したら(つまり婚姻によって子供ができたら)、この情報伝達遺伝子は役目を終わり、自動消滅すべし」

 全人類の遺伝子に無理矢理組み込まれた、この情報は・・・。

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