Jun's Space ショート・ショートの部屋
気ままに思い浮かんだショート・ショートや、美味しい食べ物のことや、旅行の思い出を書いていきます。
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サンドール
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2011年1月1日土曜日
サンドールの野を愛す・雪の夜
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あの時代、あの国は混乱して、貧しかった。空に太陽が輝く夏でさえ暗黒のイメージがあったから、日が短い冬などは、もう闇の世界だった。餓死者も大量に出た。伝染病が広まらなかったのは冬だったからだ。それでも、インフルエンザくらいは流行っていただろう。 俺も貧しかった。土地を持たなかっ...
サンドールの野を愛す・ライナス
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アメリカ全土が不況で喘いでいた時代。サンドールの集会所の入り口で捨て子が見つかった。生まれて一月足らずの男の子。警察は親を捜したが、見つからな かった。サンドールは小さな町だから、子供がいなくなれば、すぐ近所の人が気付くだろう。これはきっと近隣の町か村の人間が夜中にやって来て棄て...
2010年12月17日金曜日
サンドールの野を愛す・お告げ
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水晶で占いをしている。 と言っても、水晶の中に何かが見える訳ではなくて、自分の頭の中にヴィジョンが浮かぶのだけど、それだけだと、誰も信用してく れないので、水晶玉をクッションの上に置いて、薄暗い部屋でお香なんぞ焚きながら、意味不明の呪文を唱えて、見えるふりをする。 一応、当た...
サンドールの野を愛す・マイケル
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マイケル・M・マトリーは、生まれたときから、ころころ太っていた。小学校に上がる頃には、文字通りマトリーの犬(和名・ケンケン)みたいな体型だっ た。太ってしまうと、子供はあまり動かなくなる。動かなければ、また太る。友達にからかわれる。遊ぶのも面倒になる。更に動かない。マイケルは自...
2010年11月28日日曜日
サンドールの野を愛す・ジョーイ
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ジョーイ・グレイホースは居留地に生まれた。家の貧しさに嫌気がさし、高校を卒業すると軍隊に入った。喧嘩っ早い性格で問題の多い兵隊だった。除隊後、 職がなく、酒に溺れる毎日を過ごした。典型的なアル中のネイティヴだった訳だ。彼の叔父は年長者の忠告に耳を貸さぬ甥を案じて、トワニに相談した...
2 件のコメント:
2010年9月19日日曜日
サンドールの野を愛す・ジェイコブ
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ジェイコブ・ゴールドスタインは、ユダヤ人以外の何者でもないこの名前が嫌いだった。 サンドールは人口が少なくて、一番多いのが近くの居留地から来るネイティヴで、次がアングロ・サクソン系、アイルランド系。ラテン系やアフリカ系はとて も少ないか、いないかのどちらかで、(曖昧なのは、長距...
2010年6月4日金曜日
サンドールの野を愛す・ディック
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東部の田舎町を歩いていた時のことだ。 いきなり何かにぶつかった。 思いっきり額を硬い物にぶつけちまった。目から火が出て、一瞬くらっとなった。 倒れかけて、何かにもたれかかった。ひやりとして、がっしりした物。太い木の幹の感触だった。 目を開いてみると、そこには何もなかった。何...
2010年5月28日金曜日
サンドールの野を愛す・クリスマス
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キリストより先に生まれた人間には、キリストの誕生日を2千年たった後の時代のベツレヘムから遠く離れた土地で祝っているのが可笑しく思えた。だけど、この日は離れていた家族が集まって絆を確認したり、友達と友情を温め合う日なのだ、と考えたら、大切な行事なのだろう。 トワニはサンドール...
2010年5月23日日曜日
サンドールの野を愛す・アリー
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アリーは本当はアリーと言う名前ではなくて、真の名前を持っている。でも誰にもそれを教えるつもりはない。何故なら、その名前を持っていた人間は、3500年前に死んでしまっていて、ここに、サンドールの町でトワニとジェイクの小屋に住んでいる女性は、科学者たちが氷河の中から掘り出して最先...
2010年5月22日土曜日
サンドールの野を愛す・アイラ
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アイラがもう直ぐ逝ってしまうとスーズィ先生が無線連絡してきたので、トワニは大急ぎで町の中心にある古い集合住宅に行った。一人暮らしのアイラの部屋は、質素で片づき過ぎるほど片づいていた。アイラは自分が永くないことを知って、準備していたのだろう。二間しかない部屋の、小さな寝室で老人は...
2010年5月20日木曜日
サンドールの野を愛す
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サンドールはアメリカ西部の何処かにある町。 牧畜とそれに付随するささやかな産業しかない小さな町。何処にでもいる平凡な善良な人々。ああ、多分アメリカで一番平和な町じゃないかな。 だって、ここには彼がいるもの。 彼が何処から来たのか、誰も知らない。だって、最初にサンド...
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