2007年9月19日水曜日

受付窓口1

 診療所の窓口で健康保険証を出すのは、この国では常識になっている。患者が診療費を支払えると言う保証を医師に示すのであり、医師の側は患者が何割の負担をするのか計算するのだ。急患の場合、患者の家族が後から保険証を提示することもあるが、普通は新患が自分で持ってくる。
 なかには「保険は何ですか?」と尋ねられて、「○○生命です」と見当違いな返事をする人もいたが。

 G夫妻がやって来た時、受付事務員は、そんなに気にしていなかった。怪我をしたので、保険証がなくても「慌てていたので持ってくるのを忘れたのだろう」と思った。
G夫妻は診療所の入り口の外で暫く口論していた。それから妻が先になって入ってきた。
「階段から落ちて頭を怪我したので、診てください」
受付で出された問診票に夫が簡単に書き付ける。怪我は妻の方らしく、右側頭部をタオルで押さえていた。

2007年9月6日木曜日

正当防衛

「あれは酷い・・・」
「ええ、私も同感です」
「・・・害者は?」
「ショック状態で泣いてばかりいましたが、先ほどから落ち着いてきた様子です。」
「犯人は、当初空き巣目的でこの部屋に忍び込んだと言っていたな?」
「はい。そこに被害者が帰宅したので、犯人はクロゼットの中に隠れました。すると、被害者が着替えを始めたわけで・・・」
「ムラムラっときた男は、クロゼットから飛び出して、彼女に襲いかかった、と言うことだな?」
「はい、被害者と犯人の証言は一致しています。」
「当然、彼女は抵抗した・・・」
「はい。」
「犯人は?」
「まだ暴れています。四人がかりで押さえつけているんです。」
「無理もないだろう。あんな目に遭ったのだから。まだ、全部抜けてないんだろ?痛いだろうな。」
「しかし、彼女も死にものぐるいだったんでしょう。レイプされかけたのですから。あの程度で済んで、良かったと思うべきですよ。」
「しかし、哀れな気もするなぁ・・・」
「ええ・・・」


「急所にサボテンか・・・」