診療所の窓口で健康保険証を出すのは、この国では常識になっている。患者が診療費を支払えると言う保証を医師に示すのであり、医師の側は患者が何割の負担をするのか計算するのだ。急患の場合、患者の家族が後から保険証を提示することもあるが、普通は新患が自分で持ってくる。
なかには「保険は何ですか?」と尋ねられて、「○○生命です」と見当違いな返事をする人もいたが。
G夫妻がやって来た時、受付事務員は、そんなに気にしていなかった。怪我をしたので、保険証がなくても「慌てていたので持ってくるのを忘れたのだろう」と思った。
G夫妻は診療所の入り口の外で暫く口論していた。それから妻が先になって入ってきた。
「階段から落ちて頭を怪我したので、診てください」
受付で出された問診票に夫が簡単に書き付ける。怪我は妻の方らしく、右側頭部をタオルで押さえていた。
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