和歌山のある町には、彼岸になっても彼岸花を見ることがない。
こちらでは、秋になれば田圃の畦道に真っ赤な花が並ぶのに。
「昔、日本はアメリカと戦争をして」
と老女が語った。
「曼珠沙華の毒で毒薬爆弾を作ってアメリカに落とすんだ、そうすればアメリカに勝てる、と軍から通達があって、町中で曼珠沙華を掘り返して、供出した。
本気で勝てると信じていたのか、わからん。
だけど、町中の曼珠沙華はお国の為に出征して行った。
そんな訳だから、この町には、今でも彼岸花は咲かないんじゃ。」
気ままに思い浮かんだショート・ショートや、美味しい食べ物のことや、旅行の思い出を書いていきます。
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2007年8月26日日曜日
2007年8月18日土曜日
2007年8月12日日曜日
ギフトショップ
ギフトショップ中埜は、3桁国道の道ばたにあって、どっちかと言えば、土産屋と言った方がピンとくる和風の店構えだった。商品も地元の特産品がほとんどで、素朴な農産物の加工品が多い。洋子がアルバイトに雇われたのは、奥さんが臨月間近になって、立ち仕事が辛くなったからだ。
客が少ないから勉強しながら出来るだろうと思ったのが間違い。夏休みになると案外客が増えた。常に一人か二人店内で品定めをしている。こんな田舎で万引きなどいないだろうと思いつつも、洋子は監視しなければならなかった。
商品の中に和紙で作った人形のコーナーがあった。地元の婦人会が作った物を販売して、収益を折半しているのだ。食べ物と違ってあまり売れないのだが、綺麗なので装飾も兼ねている。和人形が9割を占める中で、一体だけピエロがあった。白地に赤い水玉模様の服を着て、玉乗りしている。可愛らしいので、洋子は売れるだろうと思って棚の全面に出しておいた。
次の日、何気なく棚を見ると、ピエロが舞子人形の後ろにいた。誰かが品定めして置き位置を換えたのだろう。洋子はピエロを前に戻した。
次の日も、ピエロは後ろにあった。誰だろう? 旦那さんだろうか? 洋子は再び全面に出した。ついでに舞子も横に出しておいた。
その次の日、洋子は学校に行き、ゼミ仲間と遅くまで過ごした。夕方、店に行くと、旦那さんが一人で店じまいの片付けをしていた。
「あれ、洋子さん、今日はお休みじゃなかったの?」
「ええ・・・前を通りかかったので・・・」
洋子の目は自然とピエロの方を向いた。そして、ドキッとした。
ピエロが、後ろにいた。そして、腰と直角に上体を向けて顔も同じ方向を向いているのに、目だけが、別の方向・・・旦那さんの顔を見ていた。
目は・・・本当は正面を見ていなければならないのに・・・。
洋子が思わず旦那さんを見ると、旦那さんは窓のブラインドを閉めていた。
洋子はピエロに視線を戻した。ピエロはもう正面、洋子を見ていた。
洋子は背筋が寒くなった。
「あの・・・」
「何?」
旦那さんは無邪気に笑顔で振り返った。そして洋子の緊張した表情に気づいた。
「どうかした?」
急に心配顔になった旦那さんに、洋子は無理に笑顔を作った。
「いえ、なんでもありません。赤ちゃん、まだですよね?」
「うん、お盆前後って話だけど、ちょっとぐずぐずしてるみたいだね。まぁ、今は忙しいからゆっくりしてもらって都合がいいけど。」
あはは、と笑うので、洋子も笑い顔でピエロを見た。ピエロは洋子を見ている。口は笑っているけど・・・。
すると旦那さんが洋子の視線の先に気がついた。
「ああ、こいつが気になったんだね?」
「これ・・・何か謂われでも?」
「そんなものはないよ。ただの紙細工だもの。だけど、こいつ、この棚が気に入っているみたいでね、うちの真弓が前に置いてもすぐ後ろに行くんだ、っていつもこぼしてた。君も同じ体験したのかな?」
「え! 奥さんも?」
「不思議だね。町長さんの奥さんが作ったんだよ。」
「あの、学校の先生なさってる奥さんですか?」
「そう。呪いとかそんなもの、なさそうだろう?でも、こいつ、移動するんだ。」
さっき旦那さんを見ていた、と言いそうになって、洋子は止めた。
「私、これをいただいていいですか?」
思わずそんなこと言ってしまって後悔したが、旦那さんは「いいよ。ただであげるよ。」と言ってくれた。
ピエロを紙袋に入れて、自転車の前籠に載せた。
夕暮れの田圃道を走っていると、振動でピエロが袋から顔を出した。洋子は声をかけてみた。
「ほら、夕焼けよ。」
ピエロはごろんと仰向けになって、空を見上げた。ピエロの白い顔が夕焼けでピンクに染まった。洋子は、ピエロの顔がとても緩やかになったことに気づいた。
「そうか・・・あなた、夕焼けを見るのが好きだったんだね!」
家に帰ると、洋子は一番夕焼けが綺麗に見える窓辺にピエロを置いた。どうして後ろ向きに置くのか、と家族が不思議がったが、洋子は黙っていた。
それっきり、ピエロは動かないで、毎日窓の外を見ながら玉乗りをしている。
客が少ないから勉強しながら出来るだろうと思ったのが間違い。夏休みになると案外客が増えた。常に一人か二人店内で品定めをしている。こんな田舎で万引きなどいないだろうと思いつつも、洋子は監視しなければならなかった。
商品の中に和紙で作った人形のコーナーがあった。地元の婦人会が作った物を販売して、収益を折半しているのだ。食べ物と違ってあまり売れないのだが、綺麗なので装飾も兼ねている。和人形が9割を占める中で、一体だけピエロがあった。白地に赤い水玉模様の服を着て、玉乗りしている。可愛らしいので、洋子は売れるだろうと思って棚の全面に出しておいた。
次の日、何気なく棚を見ると、ピエロが舞子人形の後ろにいた。誰かが品定めして置き位置を換えたのだろう。洋子はピエロを前に戻した。
次の日も、ピエロは後ろにあった。誰だろう? 旦那さんだろうか? 洋子は再び全面に出した。ついでに舞子も横に出しておいた。
その次の日、洋子は学校に行き、ゼミ仲間と遅くまで過ごした。夕方、店に行くと、旦那さんが一人で店じまいの片付けをしていた。
「あれ、洋子さん、今日はお休みじゃなかったの?」
「ええ・・・前を通りかかったので・・・」
洋子の目は自然とピエロの方を向いた。そして、ドキッとした。
ピエロが、後ろにいた。そして、腰と直角に上体を向けて顔も同じ方向を向いているのに、目だけが、別の方向・・・旦那さんの顔を見ていた。
目は・・・本当は正面を見ていなければならないのに・・・。
洋子が思わず旦那さんを見ると、旦那さんは窓のブラインドを閉めていた。
洋子はピエロに視線を戻した。ピエロはもう正面、洋子を見ていた。
洋子は背筋が寒くなった。
「あの・・・」
「何?」
旦那さんは無邪気に笑顔で振り返った。そして洋子の緊張した表情に気づいた。
「どうかした?」
急に心配顔になった旦那さんに、洋子は無理に笑顔を作った。
「いえ、なんでもありません。赤ちゃん、まだですよね?」
「うん、お盆前後って話だけど、ちょっとぐずぐずしてるみたいだね。まぁ、今は忙しいからゆっくりしてもらって都合がいいけど。」
あはは、と笑うので、洋子も笑い顔でピエロを見た。ピエロは洋子を見ている。口は笑っているけど・・・。
すると旦那さんが洋子の視線の先に気がついた。
「ああ、こいつが気になったんだね?」
「これ・・・何か謂われでも?」
「そんなものはないよ。ただの紙細工だもの。だけど、こいつ、この棚が気に入っているみたいでね、うちの真弓が前に置いてもすぐ後ろに行くんだ、っていつもこぼしてた。君も同じ体験したのかな?」
「え! 奥さんも?」
「不思議だね。町長さんの奥さんが作ったんだよ。」
「あの、学校の先生なさってる奥さんですか?」
「そう。呪いとかそんなもの、なさそうだろう?でも、こいつ、移動するんだ。」
さっき旦那さんを見ていた、と言いそうになって、洋子は止めた。
「私、これをいただいていいですか?」
思わずそんなこと言ってしまって後悔したが、旦那さんは「いいよ。ただであげるよ。」と言ってくれた。
ピエロを紙袋に入れて、自転車の前籠に載せた。
夕暮れの田圃道を走っていると、振動でピエロが袋から顔を出した。洋子は声をかけてみた。
「ほら、夕焼けよ。」
ピエロはごろんと仰向けになって、空を見上げた。ピエロの白い顔が夕焼けでピンクに染まった。洋子は、ピエロの顔がとても緩やかになったことに気づいた。
「そうか・・・あなた、夕焼けを見るのが好きだったんだね!」
家に帰ると、洋子は一番夕焼けが綺麗に見える窓辺にピエロを置いた。どうして後ろ向きに置くのか、と家族が不思議がったが、洋子は黙っていた。
それっきり、ピエロは動かないで、毎日窓の外を見ながら玉乗りをしている。
2007年7月26日木曜日
2007年7月22日日曜日
ログインの仕方メモ
ちょっと覗かないとすぐにログアウト扱いされてしまう。
取り敢えず、google に行って、そこでメアドとパスワードを入れる。
ログインしたら、ブログにアクセス。
そこから「投稿」
この手順を忘れないこと。
取り敢えず、google に行って、そこでメアドとパスワードを入れる。
ログインしたら、ブログにアクセス。
そこから「投稿」
この手順を忘れないこと。
2007年7月16日月曜日
レニグラ関連
実は、このブログは二本立てで、テーマ毎に使い分けしようと思っている。
自分の日記がJun’s Space
レニングラードカウボーイズ関連が Leningrad Cowboys' Key Board
で、今日は、レニグラの方に少し書いた。
自分の日記がJun’s Space
レニングラードカウボーイズ関連が Leningrad Cowboys' Key Board
で、今日は、レニグラの方に少し書いた。
今日から日記を外部リンクにしてみる
ブログを放置プレイにさらすのもどうかと思うし、My Spaceの方のブログも使うかも知れないので、
ちょっとこっちに日記を書いてみる。
もし、使いづらければ、mixiに戻るし。
ちょっとこっちに日記を書いてみる。
もし、使いづらければ、mixiに戻るし。
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