2008年5月11日日曜日

 家の前に大きな穴があった。 住宅地が取り壊されて、工事で開けられたらしい。結構深くて、台風の後、水が溜まって池みたいになった。
 近所のお兄ちゃんたちが、廃材の板を浮かべて筏遊びをしていた。
 黄色に濁った水に廃材の筏。竹竿で漕ぐお兄ちゃん。
 大人たちが眺めていた。
 何かあればすぐ助けに行けるように見ていたのだろうか。

 穴はやがて埋められて、そこは長い間空き地になっていた。
 お兄ちゃんは大きくなって、遠くの学校へ行って、船乗りさんになった。
 アフリカへ行ったんだって。
 お土産にワニの剥製をもらったけど、あんなの、気味が悪くて、とおばちゃんが笑ってた。

 お兄ちゃんは、子供の頃の冒険心を実現させたんだろうな、きっと。

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