家の前に大きな穴があった。 住宅地が取り壊されて、工事で開けられたらしい。結構深くて、台風の後、水が溜まって池みたいになった。
近所のお兄ちゃんたちが、廃材の板を浮かべて筏遊びをしていた。
黄色に濁った水に廃材の筏。竹竿で漕ぐお兄ちゃん。
大人たちが眺めていた。
何かあればすぐ助けに行けるように見ていたのだろうか。
穴はやがて埋められて、そこは長い間空き地になっていた。
お兄ちゃんは大きくなって、遠くの学校へ行って、船乗りさんになった。
アフリカへ行ったんだって。
お土産にワニの剥製をもらったけど、あんなの、気味が悪くて、とおばちゃんが笑ってた。
お兄ちゃんは、子供の頃の冒険心を実現させたんだろうな、きっと。
0 件のコメント:
コメントを投稿
管理者が確認後コメントを公開します。
You can read your comment after my checking.