ドンドンっと乱暴にドアを叩く音がした。
こんな夜更けに誰だ。 室内の仲間と顔を見合わせた。
「どなたです?」
声をかけると、外にいる者が返答した。
「寒いんです。寒いんです。入れてください。」
外は木枯らしが吹いていた。山奥の小屋だ。強盗未遂で逃亡している人間が隠れているところに助けを求めて来たヤツがいる。
仲間が目配せした。
入れてやれ。うまくやり過ごせば、きっと通報することもないだろう。
ドアを開いた。ザッと風が吹きこんだが、外には誰もいなかった。
「なんだ?」
とつぶやいたら、すぐ後ろで・・・ほんとに耳元で・・・声が囁いた。
「寒いんです。寒いんです。戸を閉めてもらえますか。」
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